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4月号  『  ニッチビジネスとは・・・? 』   Vol.86

 4月号  『  ニッチビジネスとは・・・? 』   Vol.86



  みなさん、こんにちは! 今月も徒然日記を投稿したいと思います。



 さて今月号は、大変悲しい話題から入ることになります。先日4月14日21時26分に発生した熊本地震についてなのですが、改めて今回地震が巻き起こす様々な災害の恐ろしさを痛感させられたのではないでしょうか。

ここで今回被災された方々に、この場をお借りして衷心よりお見舞い申し上げます。

 



 幸いにして該当する地域に在住していない我々は、『明日は我が身かな』 という考えで、備え怠りなく心を引き締めていかなければなりません。大げさなようですが、その理由としては日本全国いたるところに今回の地震の原因となった活断層が点在しているからです。



 例えば、私どもの大阪地区においては、今回熊本地区の布田川断層帯のズレにより発生した地震より、はるかに被害が上回る可能性がある上町断層帯や生駒断層帯が地中深く存在しています。もし、ズレが生じた場合、推定ではマグニチュード7.5以上の地震が発生するとされています。

 



 今回の地震で熊本県を象徴する熊本城が被災して県民の心を更に痛めていると聞いておりますが、西日本新聞によりますと、広島大学の三浦教授が今後熊本城の復旧には、10年以上の歳月と200億円以上の費用が必要であると算出しておられます。

 



 もし大阪で地震が発生し、熊本城同様我らの大阪城が崩落するようなことがあれば、あらゆる面で大変な事態となってしまいます。今回の熊本地震を上回る甚大な経済的損失と精神的なダメージは、計り知れないものがあります。



 そして、その他にも和歌山地区では、南海トラフというとてつもない化け物を近くに抱えており、もし何かあればおそらくマグニチュード 8 以上の大災害になるであろうと予測されております。『備えあれば憂いなし』 『大難を小難に、小難を無難に!』 という観点で今の間に出来る事は未然に備えておきましょう。

 



 さて地震のお話から変わりまして、今回のテーマは、『ニッチビジネスとは・・・?』 とさせていただきました。

近年、消費が減少し続けている米穀業界においての商売のあり方についてお話ししたいと思います。



 その前に先日、四国の高生連(高知生産者連合)の松林代表から 『 高生連からのコメ便り 』 が送付されてまいりました。毎年この時期に高知の田んぼの状況報告を頂いておりますので、まずはご紹介いたしたいと思います。

 



 さて東大阪店では、上記にある南国市の 『西村さんの無農薬こしひかり 』 を取り扱っております。販売価格が、なかなかお高い事もあって当店ではお米売上ランキング21番目となっております。商品の特性もあって精米せずに、玄米食をされている方が多いようです。



 先日、私がレジにいるときに赤のフェラーリで来店されたお客様が、玄米のままで30Kg (とりおきチケット)お買い上げいただき、代金20840円。 値引き前粗利益率が32.1%ですので粗利益額が、約6,000円となります。このようなお客様が一日に10人位ご来店いただければ、楽な商いが出来るんですがね・・・。

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 ただ、世の中の消費動向に目を向けてみますと、米穀小売業界は下記のグラフにあるように大変厳しい現状であります。ご覧いただければ、一目瞭然だと思いますが、黄色の折れ線グラフが国民一世帯当たりの年間消費金額の推移であります。この15年間、毎年深刻な下落傾向にあります。

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 さらに小売業よりも厳しいのが、生産農家の方々です。みなさんテレビや新聞で、T P P 協定が大筋で合意したとか、農産物の輸入拡大の方向性であるとか、よく聞かれたことがおありだと思います。

 



  上記の政府系の説明内容では、どうも意味合いが理解しづらいようですので、私なりの解釈で今後の農政の動きやその影響について、お話いたしたいと思います。

  



 今回のTPP協定がいずれ締結された場合、近い将来各国間で関税が撤廃され、貿易の自由化が促進され、輸出においては日本製品(IT部品や乗用車等)の拡大化が期待され、逆に輸入においては農産物中心にかなりの打撃が予想されます。



 例えば、アメリカ・オーストラリアからのコメ輸入が拡大すれば、いずれ関税は0%になり、安い外国米の独壇場になってまいります。(現在は、年間77万トン輸入され、それに778%の関税がかけられています。) 平たく言えば、輸出関連業界発展のために国内の零細な生産農家の方々が、その犠牲となっていくという構図です。



 国際化の波といえば、その通りなんでしょうが、何とも言えない空しさを感じざるを得ません。現在日本の農家の平均年齢は70歳。このままいくと10年後は確実に生産量は低下すると思われます。国内唯一、自給率100%のお米もそうでなくなる日も近いと予想されます。ちなみに、今すでに小麦は86%、大豆は76% を輸入に頼っているという現状であります。



 今後、地球温暖化による干ばつなど天候不順のため世界的に農作物の凶作が続くことがあれば、自給率の低下傾向の日本が食糧飢饉に陥り、大変な事態に遭遇することを考えると、現在の日本の農業政策に対して疑問を感じざるを得ません。



 そんな中で我々ドリーム・酒匠米匠チェーンのメンバーにおかれては、お米を自店の大事な柱にするため日夜努力されております。消費が先細りするカテゴリー、そしていずれ海外から大量に安価なお米がドッと舞い込んでくる業界、マイナス要素ばかりのお米カテゴリーを今後どのように育成させていくのか、真価が問われます。



 今春のチェーン勉強会におきまして、本部より今年もギフト並びにお米カテゴリーの強化が再度アピールされておりました。ただ、その二つのカテゴリーに若干違いがあるのは、かたやマーケットサイズが10兆円以上あり、しかも前年より微増しているギフトカテゴリー、かたや2兆2千億円しかなく、しかも年々減少し続けているお米カテゴリーと一見真逆な要素を見せておりますが、販売戦略の戦い方としては、同じです。

    





 昔、私の若い頃に流行ったビジネス用語に『ニッチビジネス』 というものがありました。いま原点回帰という事で、このビジネスのあり方が注目されています。安心・安全・健康・新鮮というキーワードで店頭精米をベースとしたお米販売、まさにニッチを狙った我々の商売のあり方だと思います。



 そのニッチビジネスを実践され、成果を出されている店舗紹介とその成功のカギとなるであろう食のスタイルを来月号でパートⅡとしてご紹介させていただくことをお伝えして今月の投稿を終えたいと思います。



   今月もご覧いただき誠にありがとうございました。





[ P.S ]

 ニッチビジネスとは潜在的な需要がありながら、これまで

誰も手を付けずに隙間になっていたような特定の分野や

市場を対象にしたビジネスのことを言います。

ニッチ(niche)とは、もともとは生物学で生態学的地位

すなわち自分の適所という意味です。



 ニッチビジネスには、市場規模が小さく

(ターゲットの絶対数が少ないため)メリットの薄さから

敢えて参入が敬遠されていた分野や、それまで誰も考え

つかなかった、あるいは思いついたが事業として構築

できなかった分野などが含まれます。



 市場規模が小さいニッチビジネスは、特定少数の顧客から

強い支持を集めやすく、また 独創性からニッチビジネスに

区分されるものは普及・一般化によって市場規模が大いに

 拡大する可能性があります。