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1 月号     『 2021年の展望と対策 』    Ⅴol.143

1 月号     『 2021年の展望と対策 』    Ⅴol.143



 みなさん、こんにちは! 今月の徒然日記を投稿いたしたいと思います。

 



 さて今年のお正月はコロナのせいで何か訳わからん間に終わり、そして1月8日には首都圏の4都県に 「新型コロナウィルス感染症無緊急事態宣言」 が発出され、さらに14日には、大阪府を含めて7府県に同じく発令されました。来月の7日までということらしいですが、果たしてそれまでに少しは収まるかどうか疑問の残るところですね。



 昨年の『徒然日記』 1月号の内容を読み返してみますと、東京オリンピツク開催の件が中心で、2020年は待ちに待った楽しみな年であると述べております。そして少しの記事で、コロナという厄介なウィルスが中国武漢で感染拡大しているようですと
対岸の火事 として載せておりました。



 ところがドッコイ、みなさんご存知の通り何と一年経過すると世界中に蔓延して大変なことになってしまいました。本当に2020年は公私ともに記念すべきメモリアルイヤーになるところでしたのに、オリンピック一年延期など残念な結果になってしまいました。さらには、そのコロナ収まること知らずということで今後先行き不透明であります。



 そんな中、毎年この一月号で昨年の東大阪店の数値報告をさせていただくんですが、昨年はコロナ禍でとんでもない状況下、先月号でもお話ししました通り、意外と業績は悪化しておりませんでした。具体的数値としては、年間売上昨対98.7%、粗利益額100.7% とまずまずなところで着地いたしました。





 ただ今年に入り、業務店中心に外販が苦戦しておりまして、この一週間お店内外共にそこら中で 「 閑古鳥が鳴く 」 という状態であります。毎年のことであると承知しつつも今いちパッといたしません。そこで 「チコちゃんに叱られる!」 じゃありませんが、なぜ商売不振のことを閑古鳥が鳴く というのか疑問に思いました。

 



 調べてみますと、実際に「閑古鳥」という鳥は実在 しているようです。実は、閑古鳥というのは、皆さんご存知の 「 カッコウ(郭公) 」 の別名らしいのです。あの有名な俳人、松尾芭蕉が詠んだ句に “ うき我を さびしがらせよ 閑古鳥 ” とあります。



 その由来は、カッコウの鳴き声がもの寂しい印象だったこと、また人里離れた静かな山間にその鳴き声が寂しげに響くさまをイメージし、「ひと気が無い」ことを表して言われるようになったそうです。日本には夏鳥として渡来 して、高原などでよくみられるようです。我々にとっては、夏でも冬でもお店に来て鳴いて欲しくない渡り鳥であります。



 さて今月のテーマは、『 2021年の展望と対策 』 とさせていただきました。年初の投稿でありますので少し大局的にこの業界の未来予想図を予見してまいりたいと思います。そして具体的にどのように対策を講じていくのか、一例二例をご提案してまいりたいと思います。



 まず昨年コロナ禍の中で、はっきりと見えてきたのが我々の業種は災害や不況など社会不安が生じた場合でも他業種に比べるとダメージが少ないということであります。どちらかというと水道・電気・ガスなどのライフラインに近いものがあり、人間食べたり飲んだりしないと生きていけない、そのような商品を取り扱っている訳であります。



 ただし、好況期であってもそんなに業績が200%になることはないんですね。お客様の胃袋や肝機能のキャパシティを考えると当然限界があります。好況期には地味な成果、不況期には安定した実績確保が可能であります。いわゆる振り幅が小さいということであります。



 じぁ今問題になっている業務用酒販店の場合、振り幅が小さいどころか50%ダウンなど大変な事態に遭遇しているのはどういうことなのか、ということであります。当然のことながら100年に一度の歴史的な災害にあっている訳ですから、例外的な事象も起きてまいります。いま世界中が戦時中 と言っても過言ではありません。



 第三次世界大戦といったところですかね。現にアメリカでは、コロナの死者数が1/19 現在40万人を超えて第二次世界大戦の死者数を越えてしまったということが報道されておりました。そのうちの何%かは、トランプ前大統領の影響があったともいわれております。



 さて話を日本の経済問題に戻しますと、私自身この一年で非常に疑問に思ったことなんですが、日本経済の好不況の物差しと言える日経平均株価が一年前に比べると下がるどころか、バブル期に相当するような3万円台に迫っているということなんです。



 一年前の1月は確か23000円台で推移しており当時コロナの影響で下落し、おそらく一万円台は時間の問題と言われていたのが、医薬品会社やリモート需要によるI
T 関係企業が日本経済を引っ張り、下がるどころか株価を押し上げております。当然ながら、日本銀行の下支えも無視できませんが、ここではっきりしてきたのはコロナ禍の中で大手企業間においての
景気の二分化 であります。



 半導体や自動車など製造業が急回復する一方、旅行や外食などサービス業は冷え込みから抜け出せない状況であります。先述の業務用酒販店は、その真っただ中にさらされている訳であります。そして、業務用と言えば、生ダルを中心に業務用市場では圧倒的な強さを堅持していたアサヒさんが今苦境 に立っております。





 先日の日経新聞の記事をご覧いただきたいと思います。異業種間格差だけでなく、同業種間においても取り組み内容でその格差が如実に出てきております。

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 いかがでしょうか。決してアサヒさんの販売戦略が間違っていたのかというとそうではありません。昨年の場合は、コロナ感染が影響して得意とする業務用市場の大幅な落ち込みが主たる原因であります。ただ問題はコロナ収束後、かつてのようなサラリーマンの飲み歩きがどこまで復活するか、不安な要素ではあると思います。



 今後、酒類メーカーだけでなく各食品メーカーにおきましても、家呑み・家食べ需要を反映して内食中心に需要が推移していくように思われます。なぜなら歴史上、大きな出来事が起きるたびに時代文化が変容していくのは明らかであります。そのような食文化の変化をいち早く察知 して我々小売り屋も対応していかなければならないのです。





 今年の業界展望として一言で申し上げれば、『 バランスチェンジ 』 が如実に見えてくると思われます。その動きを探り探り、頭をやわらかくして対策を講じていかなければなりません。



 かつての私の商売のあり方として、20代・30代は 『 宅配専門店 』 として、そして40代・50代は 『 店頭販売100% 』、そして60代は 『 店頭+外販 』 といったハイブリット戦略で生き残りを図ってまいりました。





 そして70代のいま、どうあるべきか・・・、そこで次なる問題として対処しなければならないのは、『 発想の転換 』 であります。いや宅配だ、店頭重視だという売り方を論議する前に、『 地域密着小型店 』 のあり方として、どのような商品を取り扱い、どのような売り方で、どのようなターゲットに、そしてどのような付加価値をつけて自店の商品をお買い上げいただくかを事細かく分析し、具体化 していかなければなりません。



 家庭用重視か業務用か、酒類中心か非酒類か、店頭売りか宅配か、売上至上主義か利益額か、トップダウンかボトムアップか、客数か客単価か、高粗利商品強化か低価格重視か などなど今までその選択に頭を痛めてまいりましたが、よくよく考えると列記した要件は全て大事なファクターであります。



 要は時代時代の中で大切なことは、その項目ごとのバランス感覚が重要なもの であると思われます。例えば、東大阪店において昨年の店頭・外販の割合は62:38 でありました。時流に対応して今年の目標は、各5%変化させ、57:43 であります。ただし、店頭売上の金額を落とさずして5%ダウンさせます。



 達成するかどうかは、どのように目標に向かって具体的に実践 していくかどうかであります。また利益率も昨年年間 16.8%であったのに対して、今年は17.5%を目指しております。じゃ、この0.7% をどのようにアップさせていくのか、が問題になってきます。



 具体的手法としては、高粗利率カテゴリーの販売強化 による構成比アップなど必須要件であります。ただそれだけでは全体売上の0.7%アップは容易ではありません。ここでひとつ提案でありますが、本年4月1日に商品価格における消費税の総額表示 がいよいよ義務化 されます。



 それに伴い店内の全てのプライスカードの差し替えを準備していかなければなりません。また外販用納品書の記載変更をしなければなりません。問題はその際の金額でありますが、東大阪店では一部商品を実質1~2%値上げ しようと考えております。



 そこで思い出したのが、何年か前のオーナー会議での江川さん(和歌山)のお話でした。どのようないきさつで出てきた言葉か忘れてしまいましたが、商品戦略を語るなかで、決して外してはならないのは 『 ロングテール 』 の重要性であると・・・。

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 ネット通販 アマゾンの販売状況をアメリカのある学者さんが分析したものらしいのですが、要は一見死に筋の尾っぽの部分の総額が意外と売れ筋の商品群と同じような売上があるという表であります。そこで考えたのが東大阪店における総額50%を超える
『 ロングテール 』 のアイテムを1~2%値上げすると自動的に全体売上に対して粗利益率は、約0.7%ほどアップ いたします。なんと今年の粗利益率目標達成です。



 例えば、岐阜の白川郷純米にごり酒720ml 1,200円(税抜き)を今回税込み価格1,320円のところ、30円プラスして1350円(税込)に価格改定しようと思います。その他、ワインや食品、冷蔵庫内にある単品ビール系など、この機会に数百アイテム価格改定する予定であります。当然ながら、何らかのリスクは伴うと思われますが、これも
『 発想の転換 』 であります。



 少子高齢化の中、 『 量から質への転換 』 が求められる中、それを達成した成果のご褒美として粗利益率アップが実現します。ただ、逆転の発想として先に粗利益率アップを頂くことといたします。みなさん賛否両論あると思いますが、試行錯誤しながら
『やってみなはれ精神』 でもって前向きに実施していきたいと思います。



 もし良ければこの考えに賛同されるメンバーさんがおられましたら、一緒に情報交換しながら 『 地域密着小型店 』 を標榜し、コロナ禍においても収益が向上する酒屋作りを目指していきましょう。最後に先月号でもお話ししましたが、 『 やり方 』 さえ間違わなければこんな厳しい環境下においても生き残っていけるのだと全国の仲間にお伝えして今月の投稿を終えたいと思います。



         今月もご覧いただき誠にありがとうございました。





 [追記] 

長い間皆さまにご愛読いただきました『徒然日記』を来たる3月号(Vol.145)にて閉稿いたすことと相成りました。

ここに謹んでご報告申し上げます。詳しくは次号にてお伝えいたします。