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8月号  『 健全な粗利益率アップの手法 』 Ⅴol.79

8月号  『 健全な粗利益率アップの手法 』 Ⅴol.79



 みなさん、こんにちは! 今月の徒然日記を投稿いたしたいと思います。

 



 さて毎年の事ですが、お盆や帰省シーズンが終わると一気にお店の方はヒマになりますよね。夏ギフト商戦でしっかり頑張ったんだから、ゆっくりすればいいんですが、何か手持無沙汰であのピーク時のバタバタ感が懐かしく思える今日この頃です。ただ有難いことに東大阪店での8月の売上や粗利益額は、今のところ好調で昨年対比110%で推移していますので数字的には問題はないのですが・・・。





 そんな中で先日千葉のグッチートレーディングの川口社長より電話があり、かつて千葉地区での加盟店であったドリーム八千代店の樫山オーナーや社員の方々、またドリーム茂原店の古賀オーナー達が集まって3年ぶりに同窓会をしようということになり、8/22(土)に千葉まで行くことになりました。



 往復の飛行機のチケットは、グッチーの川口社長が用意していただき、21日(土)伊丹発13:00上京、22日(日)羽田発13:00で帰阪という慌ただしいスケジュールでしたが、当地では千葉ブルーベリー園で夜遅くまでバーベキュパーテイと洒落込んで、みんなで昔話に花を咲かせました。



 仲間というものは、ありがたいもので、すでに八千代店が廃業して4年、茂原店が店をたたんで3年となっているのにもかかわらず、忘れず私を呼んでもらえるというのは本当にうれしい限りです。約20名ほどの集まりでした。

 

 

 今回の場合、私は逆に遠方へ行った立場ですが、本当に千葉の仲間というのは一生の朋(友)であると強く思った同窓会でした。



 20年近く前、千葉の両店は開業されピーク時には、それぞれ年商8億円・5億円の規模にあったのにもかかわらず、時代の流れと申しますか、厳しい商環境の変化の中で廃業を余儀なくされました。原因としては、複数要素があるのですが、やはり一番厳しかったのはマツモトキヨシと千葉コープに支払っていたテナント料が売上低下の中でかなりの負担となり、経営を圧迫していったのであります。

 

 

 廃業当時、本部としても道義的な責任もあり、かなりの精神的なダメージもありましたが、今回このようにして第二の人生を着実に歩んでこられた彼らの姿を目の当たりにして本当に安堵したというのが正直な気持ちです。



 それぞれのオーナー様に現在の生活状況をお聞きすると、月末の支払いをするための資金繰りの工面や競合店のチラシを見ながら自店の販促内容を考えたりといろいろと苦労したけれど、今はその必要もなく、契約社員ではあるけれど家内と共稼ぎで何とか生活はやっていっていますよ と明るく笑っておっしゃておられました。

 





 まあ、人間元気で生きていれば、山あり谷あり、一喜一憂、捨てる神あれば拾う神あり、七転び八起きで何とかなるもんですね!(実感です)

 



 さて、今月の徒然日記のテーマは、先月に詳しくお話しできなかったドリーム東大阪店の粗利益率改善のプロセスについて手前味噌になりますが、お話させていただき、何か一つでもご参考にしていただければと思っております。



 先月号で報告させて頂いたようにドリーム東大阪店の本年1月から6月までの上半期の売上高は、6980万円(昨年対比93.7%)粗利益額は、1082万円(昨年対比104.5%)減収増益という内容で推移いたしました。年初の会議で、今年は売上至上主義から徹底した利益至上主義への転換ということで取り組んでまいりました。



 結果として、上半期増益ということで、当初の目的を達成できたのですが、欲言えばやはり売上減は回避したかったです。減収の要因として考えられるのは、やはりビール系飲料を中心とした地域スーパーの低価格攻勢ではないかと考えられます。

  



 ただ、ビール系飲料販促の対抗策として、かつてのように無謀に地域最安値を前面に押し出しするのではなく、ドリーム東大阪店の低価格訴求を独自のスタンス(そこそこの安さ感)でアピールし、現在もその意識でお客様に提案しております。ここにきてなぜか、この7~8月までの2ヶ月でビール系飲料の売上は昨年対比横ばいで、粗利益額は増益となっております。ビール系飲料の利益率が上向いているのに、売上が下がっていないという現象です。



 ここで考えられるのは、低価格訴求型のカテゴリーであっても、必ずしも常に地域最安値でなくともお客様は自店でお買い物頂けるという検証結果であります。ただし、このカテゴリーにおいても配達サービスや無料包装サービス、そして何よりもフレンドリーな接客という価値が付加されているかどうかが重要なポイントとなります。



 続きまして、上半期増益の理由としては、何といっても粗利益率の向上につきます。昨年上半期粗利益率13.9%に対して、本年は15.5%1.6%アップすることにより、減収でありながら増益へとつながったと結論付けられます。近年、全ての業種においてマーケットサイズが飽和から減少へと推移する中で、健全なる粗利益額を確保するためには、やはり粗利益率の向上が必須課題となります。

 



 そこで粗利益率をアップさせるには、二つの方法が考えられます。一つ目は、単純にすべての商品の販売価格を一律に、例えば2%値上げすること、のどごし350ml1ケース2460円を2510円に価格改定したり、全ての現商品を2%引き上げると、当然ながら全体の売上に対して2%粗利益率が上がります。



 みなさん、当然のことながらお感じになられるように、これをやりますと低価格訴求カテゴリー中心に『客離れ』が生じます。と言う訳で、健全なる粗利益率アップを図るには、商品価格の値上げをせずに現商品において、すでに粗利益率の高い商材、例えばワインや地酒・お米やギフトなどの高粗利益カテゴリーの売上構成比を高めることが重要となります。



 当たり前の事のように思えますが、現実に実践していくのは非常に難しいものがあります。何故なら、粗利益率の高い商材は、その商品の価値を語らなければお客様の購買につながらないからです。しかしながら、これからの商売、経営は、その付加価値を向上させなければお客様の支持を得られない、すなわち廃業へと追い込まれてしまうのです。



 新聞折込チラシに頼った安易な安売り商売を続けていると、販売スタッフの考える力(創造力)を減退させます。逆に、粗利益率を上げようとすれば、様々な工夫や知恵、そして提案手法が必要となります。これが、良いんです! 



 東大阪店では、この半年ここに着眼を置いて段上店長並びに松藤チーフが考えながら仕事をする習慣を身につけるよう努力してまいりました。(今回の場合は、粗利益率を上げるためにはどのようなポイントが大事か?と考える)



 まだまだ未熟なレベルではありますが、彼らには常にお客様に目線を合わせ、現場活動をする中で、それぞれの持つ現場の問題点を探り当て、そしてカイゼンを重ね、さらにはお客様の反応を常に意識しながら、そのご要望に応えるべく努力と研鑽を重ねていくことが大切であると語っております。



 今回、東大阪店では先述の上半期粗利益額は、有難いことに昨年より約48万円増益となりました。しかしがら、それ以上に1.6%の粗利益率アップを実現させた彼等の成長が何よりの財産になったのではないかと喜んでおります。この事は、二年後、五年後の東大阪店の成長のための試金石として必ず成果あるものになると確信しております。



 さて、続きましてその『1.6%アップ』を因数分解しますと、やはり粗利益ミックスの大きなウェイトを占めるのが、ギフト販売の好調さであります。今までも再々お話してまいりましたが、ギフトカテゴリーの特色として、大きなマーケットサイズの割に近年意外と競争相手の少ない市場であると思われます。しかも、高粗利益が今のところ確保されております。だから、本気で取り組むと必ず好結果が期待できます。



 また、お中元・お歳暮に限らず、ちょっとしたパーソナルギフトを購買されるお客様をじっくり観察した場合、我々の中心顧客層である50代から70代のいわゆる高齢世代の方々がお買い上げいただいている傾向があります。『近くて便利 まちギフト』が、その世代の方々に支持されていると考えられます。

  



 今年の夏、東大阪店の現場で包装したり、ギフトの相談を受けたりといろいろとお客様と接する中で、お客さまから 『ありがとう!』と言ってもらえる場面が以前よりも増したような気がします。



 例えば、お中元ギフトを宅急便で贈られるときについでに孫へのオモチャも同送して欲しいとか、これとこれは一緒に梱包して欲しいとか、ちょっとしたメッセージカードを添付してもらいたいなどなど、お客様のご要望にお応えできる範囲で対応しておりますと大変喜んでいただけました。しかも、しっかりと粗利益率が高い商品でありながら、ありがとう!と言ってもらえる。



 月末チラシ特売の時に、スーパードライやのどごしを薄利ではあるけれど地域最安値でご提供していても、お客さまから「いつも安い値段で買わさせて頂いて本当にありがとう!」 という言葉は、最近現場で聞いたことがありません。何故なら、いくら安くしても安いのが当たり前という時代だからです。



 ドリーム東大阪店をスタートさせた22年前は、まったく違っておりました。酒類は定価販売の時代でしたから、「ドリームさん、いつも安くしてもらってありがとう!助かるわー!」という言葉をしょっちゅうレジで声掛けしていただいておりました。



 ということは、時代や商品は変われどもお客様満足のバロメーターは、『ありがとう!』という言葉なんですね。当然私たちは商売人ですから、物を売ってなんぼの世界です。しかしながら、お客様に売ろう、売ろうとせずに、常に「ありがとうと言われるにはどうするか」ということを考え、仕事に励まなければなりません。



 そのことが、自然とお客様の気持ちを考えることに結びつき、お客様に喜んでいただけるアイデアが生み出されることになります。極論かも知れませんが、そのアイデアが粗利益率アップにもつながるのです。例えば、食品スーパー万代で販売している「のどごし」よりも割高な価格でも、お客さまから「ありがとう!」と言ってもらうためには、どのような売り方の工夫が必要なのか? 形にして実践する。 これが、商売の神髄なのです。



 現場で、若いスタッフたちが今夏のギフト販促を通じてお客さまから「ありがとう!」と言ってもらっている姿を見て何か微笑ましく思えてなりません。その一つ一つは些細なことでしょうが、お客様にとっては印象深いものだと思います。何故なら、「ありがとう!」と言ってもらえる振る舞いや接客がそこにあるからだと思います。

 



 最後になりますが、我々の取り巻く環境は日に日に厳しく辛いものになっております。しかしながら、様々な試行錯誤を繰り返す中、ある販促活動の中でお客さまからふと「ありがとう!助かるわ!」と言ってもらえる店づくりを目指して頑張ってまいりましょう! 



 今後とも、粗利益率をアップさせるためには何をすべきか?! ということを常に意識して毎日のお仕事に精進されんことを祈念いたしまして、今月の投稿を終えたいと思います。



 今月もご覧いただき誠にありがとうございました。