10月号 『 2020年のあるべき姿 』 Ⅴol.57
みなさん、こんにちは! 今月も徒然日記を投稿したいと思います。
さて、巡り来る季節というものは不変性のものがあり正直なものです。いよいよ11月という頃になりますと朝晩が涼しいというよりも肌寒くなってまいりました。そして私の周りでは、寒暖の差のためか鼻をグズグスさせて「ちょっと、風邪気味で・・・」という方が増えてまいりました。みなさん、お体ご自愛下さい。
私は・・・というと、いたって元気で相変わらずアチコチへと飛び回っております。そして、明日からは恒例の2013年冬ギフト商戦DM大作戦の口火を切って、ギフト前回お買上リストの封入詰め(DM発送)を実施していきます。今年の夏もそうだったんですが、最近前回お買上リストの封入時に新規のお客様の購買リストが出てきたりして、着実に新規ギフト客が上乗せされているんだなと実感いたします。本当に有難いことです。
さて、今回の徒然日記では前月の予告編でお話しいたしましたように、 セブイレブンの 『セブンカフェ』vs ローソンの 『マチカフェ』 の販売戦略の違いについてお話ししたいと思います。この違いを理解することで、これからの私達の商売のあり方や方向性を明確に見定めていかなければなりません。
そして、さらに今月のテーマで 『 2020年のあるべき姿 』 とあるようにこれからの7年先を見通して自店の生き残りのため、どのような体質改善を実施していかなければを考えていかなければなりません。
その前になぜ 『2020年』 なのか? ということですが、皆さんお察しの通り 『東京オリンピツク』 の年なんですね。今後、日本国内で交わされる様々な報道や人々の会話の中で 『2020年』 という言葉が頻繁に出てくると思われます。間違いなく、今後は期待と不安の中で、着々とその準備が進められていく訳でございます。
例えば、メイン会場となる新国立競技場は、現国立競技場を改築するため、競技場一つに何と1300億円の巨費を投じる予定となっております。収容人数 8万人という国内最大の競技施設に生まれ変わるのです。その他の施設やそれに伴うアクセスの新設や整備などなど、建設業界中心に首都圏にてオリンピック景気が沸き立つことと思われます。当然のことながら、国民の景気回復の期待は、高揚すると思われます。
しかし、しかしながら現況はどうでしょうか。来年4月からスタートする消費増税、2年後にはスライド式に10%にまで上げられていきます。そして、さらに2020年には、税率10%で留まっているでしょうか。今後の少子高齢化に伴う年金や医療費の増大のため、厳しい社会状況は目に見えております。
日本政府機関である国立人口問題研究所の発表では、2020年に65歳以上の高齢者が初めて3600万人を突破。高齢化率は、29.1%となるといわれております。高齢化率では、2011年の島根県と同じになるのだそうです。ということは、2020年のニッポンは2年前の島根県の風景となるということであります。そして、その高齢人口の中に私もいるのですがね・・・・・。(ちなみに、私は70歳になります。)
さらに現実に目を向けてみますと、今年の小売業の倒産件数について日経新聞(10/23付)に次のような記事がありました。
〔記事内容〕
帝国データバンクがまとめた小売業の倒産動向調査によると、
2013年度上半期(4月~9月)の倒産全体に占める小売業の構成比が、
リーマンショックの2008年以降で最高となった。
〔全体の19%〕(スーパー・百貨店・アパレル・家電など)
・・・(中略)・・・
同社は「景気回復途上で増税が決まったことは
上昇傾向にある小売業の倒産件数を今後さらに押し上げる可能性も
ある。」と指摘している。
という訳で、オリンピック需要で今後業績が向上すると予想される建設業界と違い、小売業界の推移については、今もなお混沌としております。ましてや、我々のような零細な小売業者の命運はいかなるものやということであります。
『 あなたは2020年、7年先を見通せますか?!』
本当は、 「はい!」 と即答したいところですが、ほとんどの方々が7年先この世の中、どうなっているんだろうかと疑問符を持たざるを得ないと思います。しかしながら、7年先は見えなくてもそこへ到達するまでの流れは間違いなく、毎年一年一年予測することが出来ます。だから、7年先の準備は、出来るのです。
『見通すことは出来なくても、見据えることは出来るのです。』
そのためにも、その手始めとして今年の年末から来年2014年に向けての心構えと実施すべき事柄を具現化していかなければなりません。そこで参考とすべきことが前月号からの宿題であります 『ローソンのマチカフェ』 なのです。
まずは、 『ローソンのマチカフェ』 について、某コンサルティング会社がコメントしている記事をご覧頂きたいと思います。
〔記事タイトル〕
ローソン、接客強化、マチカフェ『ファンタジスタ』
社内資格者4倍の2000人に、来年度中、固定客の増加狙う。
ローソンはいれたてコーヒーや関連品の販売技術、商品知識などに関する社内資格制度を利用して各店の接客水準を高める。試験に向けた勉強会を全国規模で実施するなどで同資格を持つ技能者を2014年度中に現在の4倍の2千人に増やす。ローソンは他の大手コンビニエンスストアと違い、いれたてコーヒーを店員が手渡しする。そうした顧客との接点を生かして丁寧な接客で固定客を増やし、客単価の向上にもつなげる。
ローソンは約1万の国内全店のうち、カフェラテなどコーヒー関連品を10種類以上扱う「MACHIcafe(マチカフェ)」を備えた店が4300前後ある。サンドイッチやケーキなどとのついで買いを誘うため、接客力の高い従業員を11年6月から筆記試験で選抜し「ファンタジスタ」として認証。服装を通常と変え、収入も従来より高くなるようにした。
ファンタジスタには顧客との会話などコミュニケーションからコーヒー以外の店内の商品の知識まで幅広い能力を求めている。マチカフェ導入店は平均日販が4〜5%上がるが、ファンタジスタがいる店は固定客の比率も5割と、通常店(4割)を大幅に上回る。
ローソンはマチカフェの導入店を13年度中に5千店とし、14年度以降も増やす方針。並行してファンタジスタも増やし、16年度中にはマチカフェの導入店には必ず1人はいる体制にする。
固定客は店を普段から利用するため、野菜や加工食品などを買う頻度も上がるという。ローソンは近年、既存店の来店客数の増減率がコンビニ全体を下回っており、ファンタジスタのいる店を増やすことで客数確保を目指す。ファンタジスタがアドバイスするなどで他の従業員の接客力が上がり、店全体の士気も高める効果も期待している。
ローソンは合格率2割前後という試験の難度は変えず、ファンタジスタを増やす方針。このため、今後は試験前の予備学習講座を経営指導員らがいる全国の支店で実施する。従来は一部地域の支店に限っていた。試験向けの参考書も勤務歴の長い従業員らに積極的に配って、受験を促す。
セブン―イレブン・ジャパンやファミリーマートなどはいれたてコーヒーをセルフ式で提供している。
ローソンのように接客に関する資格制度を持つコンビニは珍しい。
とあるように、ローソンのコーヒー販売戦略は、明らかに他のコンビニチェーンとは一線を画しております。
特に、コンビニ最大手のセブンイレブンの100円コーヒーに対抗した戦略の違いを見せております。
上記の表についてコメントする前に、先月号でご案内したローソンの新浪社長の書籍から引用した記事をご紹介します。
〔 弱みを強みに! 差別化から、独自化へ! 〕 P.84~86から引用
2005年7月2日号『週刊東洋経済』のインタビューに応えて、新浪は面白い表現で自社の「あるべき姿」を語っている。( 8年前の取材ですので、競合環境は今と若干違うと思いますが・・・)
「ローソンは、かつて先行者であるセブンに追随し、
模倣することで成長を続けてきた。
そして、今もなお僕達が戦う相手は、非常に強く、大きい。
隣にセブンがあれば、お客様はセブンに行く。
向こうが“本物”なんだから。
違う個性があるからこそ、こっちに来る。
セブンが巨人なら、うちは阪神。早稲田なら、慶応になりたい。」
・・・・・中略・・・・・
同じ土俵の総力戦に引き込まれたなら負けるのであれば、
戦力を集中投下して「勝てる局地戦」に必ず勝つ。
どうしても勝てないのなら、イノベーション(革新)に
よって「戦いのルール」を変える。
「勝てない」という先入観と諦念を打ち壊していく。」
つまり 「劣化版セブン」 ではなく、ローソンという 「唯一無二の存在」 になる。
どうでしょうか。8年前から、新浪社長が言い続けて来られた事が、この 「唯一無二の存在」になるということなのではないでしょうか。これが実現した時に、初めてローソンはセブンと戦うことが出来るということだと思います。では、私達の店舗は地域のお客様にとって 「唯一無二の存在」になっているのでしょうか。
ローソンの場合は、この8年の間に商品戦略として常にオリジナルパッケージ化し、ある時は『おにぎり屋』として、ある時は『プレミアムデザート』としてコーナー作りをし、そして爆発的な売上を達成した「プレミアムロールケーキ」の誕生などがあります。そして、続いて今回の『マチ・カフェ』ということなんです。
それでは、いよいよ上記の表①に基づいてローソンは、コンビニレギュラーコーヒー戦略として、セブンに対してどのような違いを出そうとしているのかを分析してみたいと思います。
ただし、このコラムで答えを出してしまうと面白くありませんので、是非とも皆さんの中で分析し、ローソンの目指すべき狙いを考えてみていただきたいと思います。ヒントとしては、単なる売上増や利益増だけでなく、コーヒー販売を通じて、地域戦略・顧客戦略・販売戦略・情報戦略そして商品戦略(五つの戦略)をどう展開しようとしているのかを解析していただきたいと思います。
そして、そのコーヒー戦略こそ、まさしく私どもチェーンが、来年度から本格的に構築していこうとしているドリーム・酒匠米匠ギフト戦略へのお手本となるということをお伝えしたいと思います。
2020年へ向けてのキーワードは、『価格から価値への提案移行 』
決して低価格訴求を否定しているのではなく、逆に消費者の低価格志向は景気低迷や生活不安の中で今後さらに強まるのは必至であります。『安くしなければならないものは、更に安く!』
そのためにも、利益を補完すべき価値提案商品の育成は、待ったなし!です。
今後、各地区エリア会議において上記の内容について積極的にお話ししてまいりたいと思いますので、皆さんもココのところをしっかりと理解し、熟知し、7年先の自店のあるべき姿の実現へと邁進して頂きますようお願い申し上げます。来年の本部からのギフト戦略の提案に期待しておいて下さい。
それでは、これにて今月の投稿を終えたいと思います。
今月もご覧いただきまして誠にありがとうございました。