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6月号 『 サッカーワールドカップから思うこと 』

 6月号 『 サッカーワールドカップから思うこと 』

 みなさん、こんにちは! 今月も徒然日記を掲載いたしたいと思います。

いま外は、どしゃ降りの雨です。本当に、梅雨の時期はいやですねー。( ただ、米作農家の方々には恵みの雨ですが・・・) なにか毎年、この時期になると同じことを思い嘆いているんですが、これも自然の摂理ですのでしかたありません。

 それよりも、ご来店されるお客様に梅雨のうっとうしさを吹き飛ばすような元気なあいさつを実施していきましょう。そして、お中元ギフトをひとつでも多くご購入いただけるような提案を積極的に展開していきましょう。そのように 地道にコツコツと努力し続ける事、これしかないですね!

 さて話は変わりますが、今回のテーマは『サムライジャパン』で盛り上がっているワールドカップについてお話しいたしたいと思います。
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 先日、深夜というよりも6/25早朝デンマーク戦でご存知の通り『サムライジャパン』がやってくれました。ご他聞にもれず私も眠い目をこすり、奇声を発しながら観戦しておりました。皆さんも同感だと思いますが、本当に応援のし甲斐のある試合でしたね。

 そこで、翌日その試合を振り返った時に、われわれの仕事にも参考になるかなと思えることがありましたので、少しここで聞いてもらいたいなと思います。

 ひとつは、スポーツも仕事も結果を出さんと何も評価されないなーということです。

 選手達は、最良の結果を目標としてみんなで過酷な練習を積んでいるのは間違いないと思います。一生懸命汗を流し、いろいろと戦略・戦術をシュミレーションして努力してきているのだと思います。

 しかしながら大会が始まる前の親善試合で、あの惨敗の連続、そして岡田監督の更迭なども報道され、バッシングされ、半分あきらめムードで大会に突入した という感じでしたね。

 結果がすべて、それまでの練習してきたプロセスなど何も評価されない!

 それが、カメルーン戦で本田選手のひと蹴りで事態は一変、岡ちゃんも『さむらいジャパン』も評価はうなぎ上りで、天国と地獄の違いとは、まさにこの事だと思います。

 ただ、人って世間の評価ってこんなもんだなと思ってしまうのが、少し悲しい気がいたします。

 そういう私もドリームの業務を管理する立場で、成果の出せない店長や社員をこの十数年間に5~6人クビにしてきました。当時の私の店舗運営方針は、全て100%成果主義でした。しかし、今振り返る中でその考えはほとんど間違っていたと反省しています。

 現に、店長をすげ替えしても事態は決して良くならず、結局は更に売り上げ減へと推移してしまいました。悲しい事に経営者というものは、スタッフ達に時間をかけて育てていく事(建前)と今すぐ結果を出せと要望する事(本音)との狭間の中で、的確な判断をしていかなければならないのです。本当は、建前と本音を逆にしていかなければならないんですけどね・・・。
 
 『 短気は、損気!』 出来る事なら、目先の成果のみを追及するのではなく、いらだつ気持ちを抑えて、時間をかけて将来の人材を育成していけるよう努めていきたいと思います。


 さて、もうひとつ『 サッカーワールドカップ 』から感じたことは、

   なぜここまで『サッカー』が全世界の人々から注目され、
     オリンピック以上に熱狂を呈するのだろうか

                                      という事です。

 昔の話になりますが、私は若い頃ラグビーをやっておりました。1970年代です。その時代のスポーツの花形は、野球や相撲の他に、やはり冬場のラグビーでした。
当時、新日鉄釜石が松尾主将や洞口・森らを率いて常に日本一連覇に輝いておりました。

 1980年代続いて1990年代に登場してきたのが、神戸製鋼の平尾主将や大八木・林らでした。1995年1月15日国立競技場(5万人)でラグビー日本選手権〔神戸製鋼vs大東文化大学〕が開催されました。たまたまチケットを手に入れ、女房と子供たちを連れて東京まで観戦しに行ったものでした。 結果は、圧倒的な強さ (104:12) で神戸製鋼の完勝でした。

 翌日、帰阪し、そして翌早朝あの忌まわしい阪神大震災が起きたのでした。震災の話をするとどんどん横道に逸れてしまいますので敢えて申しませんが・・・ ここで私が言いたかったは、

この時期を境に日本国内においてラグビー人気の落陽が始まり、そしてそれにうって変わってきたのが『サッカー』人気だったのです。

 それまでは、日本実業団サッカーといって、失礼ですがパッとせず球技場も観客は疎らでした。しかし、1993年に『Jリーグ』が川淵三郎氏らの発起人によって創設され、その後一気に人気を博していったのでした。

 ここで仕事の話に戻りますが、あの低迷していたサッカー業界(?)がなぜここまで国民を睡眠不足にまでして駆り立てられるものになったのかを因数分解したとき、いくつかの理由が見えてまいります。

① ルールの簡素vs複雑 ⇒ わかりやすいスポーツ
・チームプレイスポーツなのに、ラグビーやアメフトのルールに比べて、はるかにシンプルな規則になっている。
 〔サッカーの主なルール⇒ハンド・オフサイドなど〕
 そのため、ゲームが理解しやすく、老若男女まで隔たりなくファンが増える。

② 世界中のサッカー人口がダントツ ⇒ とっつきやすいスポーツ (お金がかからない)
・今回のアフリカ開催で見られるように、発展途上国においてもボールひとつあれば小さいころからゲームに興じる事ができる。多数の国同士の試合が出来る。

③ サッカーというスポーツにアミューズメントを付加している ⇒ 楽しいスポーツ
・FIFA(国際サッカー連盟)の場合では、現連盟会長ブラッター氏、そして日本では上記の川淵三郎氏らが様々なアイデアを出す中で、単なるスポーツに加えて ザックリ言えば『楽しさ・華麗さ・豪快さ』などを加えてエンタテーメント化している。

 その他、まだまだ私たちには考えられない熟慮の中で、今回のようなビッグイベントに変身させていったと推測されます。

 ここで、私たちが参考にすべき事としては、あの低迷していた日本サッカーがこのようによみがえってきたように、自店の現況をキチッと検証・分析し、そして因数分解して、その中で優先順位をつけてカイゼンしていく事から始めてみるということです。

 仕事もスポーツもその先に行き着くところは、やはり『勝ち負け』(成果)という事になります。しかし、人は常に勝ち続ける事は出来ないし、また珠に負ける事にも意味があると思います。そこに、ラグビーでいう『ノーサイド』があると思います。ただ娯楽性のあるサッカーで終わることなく、個人個人の人間性やそしてその周りにある人間模様についてどうあるべきかを常に高めていくべきではないでしょうか。

 そこで最後に、川淵氏が述べられたコメントを引用して今月の独り言を終わりたいと思います。

『 勝負の世界は非情で、必ず敗者がいる。その敗者の側にたった時、ヒステリックに犯人捜しをする風習からもう脱皮してはどうか。「負けること」を前提に言っているのではない。より高く、より豊かな精神でスポーツに接し、日本らしいスポーツ文化をはぐくむ私たちでありたい。』
  日本サッカー協会 名誉会長  川 淵 三 郎