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11月号『 丹波・但馬地方 産地研修を終えて・・・ Part2 』Ⅴol.70

11月号『 丹波・但馬地方 産地研修を終えて・・・ Part2 』Ⅴol.70



 みなさん、こんにちは!今月も徒然日記を投稿したいと思います。

 

 いよいよ今年もあと1ヶ月となりました。『光陰矢の如し』 と申しますが、本当に2014年もあっと言う間の1年であったように思います。この1年の総括は、12月号でしっかりとご紹介させていただく予定ですが、今思うになかなか充実した内容の濃い1年間であったと実感しています。



 と申しますのも、今年年初から直営店舗でありますドリーム東大阪店に従事したことに起因いたします。まだまだ本格的に現場従事とはなりきれていませんが、本部の仕事を兼務しながら、20数年ぶりにレジ打ちしたり、配達したり、リフトに乗り倉庫での商品の出し入れなどの仕事をこなしてまいりました。

 



 そして、何よりも東大阪店にご来店されるお客様との接点が増えることにより、接客の楽しさと難しさを体験させていただいております。さらには、改めて現場従事者の大変さも理解しながら、毎日一緒に段上店長や松藤チーフ、そしてパートの堀井さん、さらには大学・高校生のアルバイト諸君等、スタッフ全員と良い雰囲気で働いております。



これで、売上が順調に伸びていたらね最高なんですがね!現実は、そううまくはいかないのが世の常です!まあ、そちらの方はコツコツと頑張るしかないですがね。ただ、そんなに悠長なことはいっていられない状況下でもありますが・・・。



 しかし、毎日元気で楽しく仕事が出来るのは幸せなことだと思います。と同時に私を支えて頂いている周りの人すべてに感謝の思いでいっぱいです。そして、この体験と成果を再度チェーン全体にフィードバックして各店への次なる目標事例へと繋げていければと願っております。どうぞ、ご期待ください!

 



 話は変わりまして、今年の冬ギフトの出足は?といいますと、東大阪店では順調な動きを見せております。先日も、今年の夏に新規でお中元ギフト150セットお買い上げいただきました法人のお客様が、ご来店いただき何と100セット増えて257セットご注文いただきました。金額にして、約35万円、ヤッタね!



 ただ、会社へギフト全てを11/30までのお届けなんですが、包装が大変!何と贅沢な悩みだとおっしゃるかもしれませんが、私自身の性格上寡黙にコツコツと作業することが本当に苦手なんです。しかし、そこはプロの商売人、スタッフの誰にも負けない速さと丁寧さで大口包装をこなしていきます。ちょっと自慢していますが・・・。(笑)



 今年の冬ギフト包装総数は、おそらく 2500個 ( 昨年対比120%) は超えると予想しています。1日100個が25日間続くわけです。風邪などひいてられません!老体鞭打って頑張りたいと思います。本音のところ、忙しいことは大歓迎で、気合が入って疲れなど本当に感じないのが不思議な位です。そうです、まだまだ若いもんには負けられまへん!



 さて、大阪のおっさんのしょーもない話は、この辺にして前回の続きであります 『 丹波・但馬地方 産地研修を終えて・・・ 』 の探訪記Part 2 をお話ししたいと思います。

 



 前月号では、有機肥料にこだわる宮垣さんのお米をご紹介して終わりましたが、その後松葉ガニで有名な香住漁港手前の 『香住鶴福壽蔵 』 へ車で移動いたしました。酒蔵視察は、かつて鹿児島県南さつま市の本坊酒造株式会社津貫貴匠蔵へ訪問して以来10数年ぶりの事でした。

 



 現地では、福本専務、松本杜氏、森上営業課長にわざわざお出迎えをいただき、福本専務より会社概要や酒蔵の歴史等をご挨拶を兼ねてご説明頂きました。その後、参加者全員手洗いの後、ヘヤーキャップ着用し、いよいよ 『福壽蔵』 見学スタートです。

 



 香住鶴さんのお酒の特色は、すべての商品が生もと・山廃造りであることです。生もと造りとは、江戸時代から続く酒造りの伝統技法で、櫂を使って米と麹をすり潰す 「山卸し」 という作業を行う事です。そして、発酵力の強い優良酵母を育て、天然の乳酸菌や微生物の力によって、奥深いふくよかな味を醸し出し、約1ヵ月の日数と手間をかけて日本酒本来の風味を造り上げることです。



 また、「山廃造り」 とは、上記の工程の中で 「山卸し」 を荒櫂や暖気樽入れをもって代行し、廃止する技法だという事です。私自身、親の酒屋を継いで以来、何十年となりますが、日本酒についての知識はまったく無知でございまして、改めて今回の見学で日本酒についての奥深さを感じさせていただきました。

 



 さてここで、私のように日本酒を販売しながら、まだまだ不勉強の方々に 「日本酒の出来るまで」 の製造工程を図式化した資料を見つけましたので、ご紹介いたしたいと存じます。基本的な工程でございますので、あらためて復習を兼ねてご覧いただきたいと思います。
『釈迦に説法』 となりましたら、ご容赦いただきたいと思います。

 
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 今回の酒蔵見学は、かつて私が経験してきた蔵見学の中で一番勉強になったものでした。各工程を懇切丁寧にご説明頂きました。そして、上記の図式通りにその工程一つ一つを詳しく杜氏の松本氏より聴講し、最後の瓶詰め工程の説明にて終了いたしました。



 そして、いよいよ次はお楽しみの香住鶴各商品の試飲会となります。一番価格のリーズナブルな「山廃仕込 但馬の誇り」から始まり、「山廃 大吟醸」 まで10アイテムほど、テイスティングさせていただきました。



 余談になりますが、実は今年のお正月に家内と長女三人で香住鶴さんの近くに位置する城崎温泉に行ってまいりました。その際、旅籠でカニ料理と一緒に出された冬季限定の香住鶴「しぼりたて 山廃 純米生原酒」 がカニとのマリアージュで抜群に美味しかったことを覚えています。

 



 今回の酒蔵見学の試飲で一番楽しみにしていたのが、その「しぼりたて」でした。しかしながら、冬季限定という事で、商品化が一ケ月後というお話しでした。残念!!ただ、その時に試飲させて頂いた「山廃 純米原酒 二夏越え ひやおろし」 がこれまた大吟醸よりも旨かったぁー。 まるみがあって、しかもコクがある。いろんなお酒に出会えるのは、本当に楽しいもので驚きでもあります。



 さらに驚かされたのは、約一時間の見学が終わり、香住鶴 「福壽蔵」 からの帰りぎわ、福本専務より参加者全員にその「ひやおろし」をお土産に用意して頂いたことでした。さらには、「香住鶴 酒 大福餅」 まで添えていただきました。

       


 本当に、何から何までのお心遣いをいただいた事に感激いたしました。これこそ、まさしく「お・も・て・な・し」の心という事ではないでしょうか。創業290年の歴史を形成しているものは、単なる酒質だけのものではなく、そのクォリティを支えるスタッフ全員の情熱とおもてなしの心にあるのでは、とその社風と文化性に感じ入りました。



 今回の酒蔵見学は、いろいろな意味で勉強になるものでした。ちなみに東大阪店では、さっそく香住鶴コーナーの売場を作り、お客様に今回体得した造り手の思いを伝えることにいたしました。何と結果はすぐに出てまいりました。香住鶴販売金額 昨年対比 200% という11月の実績が、はじき出されました。

 



 まだまだ、基礎数が小さいこともありますが、日本酒担当の松藤チーフの努力の甲斐あって好結果に繋がりました。さらに驚いたのは、香住鶴に引っ張られて地酒全体の伸び率が140%、さらになぜか低価格パック酒までが110%、日本酒全体では、昨年対比 125% の伸び率となりました。店舗全体の売上が昨年対比95%、客数93%の中で日本酒カテゴリーの伸びは、何を物語っているのか・・・。



 ここで、検証すべきことは、造り手の思いの中に 「情熱とおもてなしの心」 が大事ですよ、と申し上げました。われわれ販売する立場のスタッフもその 「情熱とおもてなしの心」 が必要なのではないでしょうか。そして、数字に裏付けされたものとして・・・。目先の売上や利益という数値ではなく、本来の分析管理という重要さを再認識して頂きたいと思います。



 『頑張っている』 というだけでは、ダメなんです。どのように頑張っているのか、そして頑張った結果がどうであったか、数値で検証し、良いも悪いも次に繋げていくことの大切さをご理解いただきたいと思います。



 さて、みなさん次に日々の販売活動の中で、情熱を持って従事されているでしょうか?実は、こういう私も 『NO』 と言わざるを得ません。情熱を持ち続けるという事は、本当に大変な事です。ただ、今回の酒蔵見学で私は日頃忘れていた情熱というものを覚醒させていただきました。



 私は、25年ほど前から酒販業界内のいくつかの組織に加盟させていただいておりました。その中で、学んだ事は組織とはどうあるべきか?そして、組織をどのように運営していくべきか、さらにはそのために必要なシステム化やそれを遂行するためのマニュアル作りに携わってまいりました。



 また、組織の栄枯盛衰もその中で体験してまいりました。そのことが、現在のドリーム、酒匠米匠チェーン運営に活かされてきたと自負いたしております。そして、そのチェーンを西田社長にバトンタッチして4年の月日の中で徐々にその使命と責任を彼に委譲してまいりました。



 今年あたりから、その任務も徐々に軽減され、東大阪店での現場従事に専念できるようになってまいりました。その中で、呼び覚まされたのが 『酒屋スピリット』 でございます。もう一度原点に回帰して今回のような日本酒の商品知識に始まり、接客技術や情報伝達のあり方などを学んでいこうと思っております。



 かつて20年前に宅配専門店のイノウエ酒販が、店舗移転して酒DSという業態で成功を収めました。しかしながら、その 『お酒の安売り』 という成功体験は逆に今の時代に生き残るための阻害となることを自覚し始めています。もちろん、価格でお客様を呼び込むことも大事な要件です。



 しかしながら、今となっては競合同士の低価格競争が業界全体を疲弊させ、減収減益の状況を作り出しているとも言えます。先日の日経新聞によりますと、いつも話題に出ます「コスモス薬品」が、現在近畿2府4県内にある30店舗が、今後10年以内に何と1000店舗に増やす とありました。

 



 このような商環境の中で、われわれチェーンはどのように対策を講じて進化していかなければならないのか。今回の酒蔵見学で何かそのヒントをいただいたように思えます。



 今後の方向性として、言われ尽くした言葉ですが、お客様との密着度の強化、絆づくり、そしてそれを成し遂げるための 『専門性と伝える力』の強化 を常に念頭に置きながら目の前の年末商戦を戦って頂きたいとお願いいたしまして、今月の投稿を終えたいと思います。



 今月もご覧いただきまして誠にありがとうございます。

    それでは、ごきげんようさようなら



 〔P.S〕これより257セットの包装に取り掛かります。ガンバロー!