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9月号『 商人の魂銀二貫から学ぶもの 』Ⅴol.68

 9月号『 商人の魂銀二貫から学ぶもの 』Ⅴol.68



 みなさん、こんにちは!今月も徒然日記を投稿したいと思います。

 



 “ 天高く馬肥ゆる秋 ”いよいよ日本全国津々浦々に爽やかな秋がやってまいりました。前月号でもお話しいたしましたが、今年の夏のイメージは余り良いものではありませんでしたので、是非とも今秋期は年末商戦に向けての前哨でもありますので質・量とも満足のできる内容にしてまいりたいと思います。



 その先駆けとして、大変嬉しいニュースが昨日入ってまいりました。今夏に酒匠米匠チェーンに加盟されました 『 酒蔵りかこ店 』 (しゅくらりかこてん)様が、9/26 (金) にリニューアルオープンされました。以前は、某大手DSチェーンに加盟されておられたのですが、時代の流れの中でクォリティの高い店舗に変身しなければ・・という強い思いを持たれて我々のグループに参加された訳でございます。



 もちろんビール系飲料を中心とした低価格性も維持しながら、という事でございまして、今秋の全国勉強会にて本部が提唱いたしました『ハイブリッド戦略』、いわゆる安さとこだわりを相併せ持った店舗が誕生したという事でございます。

 



 店舗周辺の商業環境としては、やはり郊外型の小売業が群雄割拠し、厳しい競争に晒されております。今夏には和歌山本拠地の地域スーパー「オークワ」の伊賀上野店が、その厳しさゆえに廃業いたしました。



ただ、自然環境としては、伊賀のコシヒカリの田園風景が連なる、何とも長閑な地域でございます。

 



 オープン後の売れ方も狙い通りのようで、新しく導入した量り売り麦焼酎「どんどこどん」近くて便利「まちギフト」といったような高粗利益商材の購買が促進されているとお聞きいたしております。また親会社であります大田酒造様の付加価値ブランド 「 半 蔵 」 コーナーもアンテナショップとして併設しており(上記画像)、今秋冬の日本酒需要期には、楽しみなアイテム構成となっております。



 今回の新装オープンを起点に地域にとってなくてはならない存在、唯一無二の店舗となりますよう期待して止みません。今後、益々のご繁盛を祈念申し上げます。



 さて、今月のテーマは、『 商人の魂銀二貫から学ぶもの 』 とさせていただきました。



 『銀二貫』 、高田郁 (タカダカオル)さん作の歴史時代小説なんですが、もうすでに読まれた方も多数おられると思いますが、ここであらためてご紹介させていただきたいと思います。ちょっと集中して読めば二日ほどで熟読できる単行本ですが、私にとっては商売に関わる者として大切なバイブル書となっております。

 



 物語の概要としては、江戸時代、大坂の寒天問屋 井川屋の主人 和助が仕入の道中でひょんなことから武家同士の仇討ちを銀二貫で買ったことから始まり、八十二歳で没するまでの商いを通じた生きざまを泣き笑いを取り混ぜて、商人とは・・、人とは・・どうあるべきかを書き綴られております。

 



 大坂商人といえば、淀屋、住友、鴻池、そして三井など、大坂で財を成した大店が代表されますが、井川屋はそうした大店とは程遠いのですが、こつこつと地道に真っ当な商いを通してきた、いわば地域に密着した我々のような中小・零細な商店の鑑であります。



 特に、大坂の老舗高級料理屋 『 浮船 』 に日参し、苦労した甲斐あって納品出入業者として認定されたものの、あることで自ら納品を断りに行くさまは、何とも言えない商人としの魂に感動を持って拍手するものであります。



 そのある事とは、『 浮 船 』 の四代目店主 宗八のビジネス手腕に度が過ぎて、井川屋納品の京丹後産の天草(寒天の原料)を伊豆の天草と偽って料理に出していたという案件でした。当時、伊豆の天草は、貴重品としてなかなか入手困難なもので、余計に評判を呼ぶものとなり、『
浮 船 』 は盛況を博しておりました。

 



和助は、出入業者の立場もわきまえず、いや出入業者ゆえに、店主 宗八に異を唱え、諭しに赴くのですが、案の定、逆に反感を買って出入禁止となる訳でございます。(実際は、和助の方から辞退)



このやりとりを読んでいると、皆さまもご存知の通り、昨年 『食材偽装問題 』 で社会を揺るがした事が頭をよぎりました。メニュー上は、芝エビと表示しながら、実際にはバナメイエビを使用したホテルや料亭など、また最近では牛肉の産地偽装が発覚したしゃぶしゃぶのK店など、消費者を無視した裏切り行為が続出しております。



先日、日経MJを読んでおりましたら、次のような記事に目が留まりました。

 

     マック離れ深刻6割   日経MJ2014年9月22日


日本マクドナルドの社長兼最高経営責任者(CEO)にサラ・カサノバ氏が就いて1年あまりになる。
既存店売上高が前年実績を上回ったのは今年1月だけ。
仕入れ先だった中国の食肉加工会社が試用期限切れの鶏肉を使用していた問題だけではないようだ。
価格・サービスに対する顧客満足度が低下していることも見逃せない。
日経MJは、約1200人の消費者アンケートを実施、「マック離れ」の深層を探った。
                         とありました


 



 その他にも、紙面では 「狭い席、汚れに不満 」 「静かさや接客」 にまでも不満が及びます。いったん、食材などの不正が発覚すると消費者というものは、さらにエスカレートしてクレームをぶつけてくることがよく判りました。

 



 この1年と8ヶ月の既存店売上高と客数の推移を上記のグラフでご覧ください。もしわれわれのような零細な店舗がお客様を裏切ると、取り返しようのないしっぺ返しがやってきて、結果として当然ことながら廃業へと追い込まれていくのです。





  『 商いとは、どうあるべきなのか人として、どう為さねばならないのか 』



  『 人知らずとも良心これを知る 』



一冊 600円の書籍から、学ぶべきものが多くあると確信します。是非とも、お読みになって頂きたいと思います。

       
 話は変わりますが、先日の秋の研修会に参加した際に高砂市の春日野商店 柳田氏にこの 『 銀二貫 』 の本をお薦めしたところ、逆に彼の方から、

 石田ゆうすけ著 『 行かずに死ねるか!』 という本を薦められました。そのうちに時間が出来たら、買い求めようと思っていましたら、先日その本が宅急便にて東大阪店に届きました。



そこで、その際に同封されておりました手紙をご紹介いたしまして、今月の投稿を終えたいと思います。



 




来月は、是非とも 『 行かずに死ねるか!』 の読書感想を述べたいと思います。



今月もご覧いただきまして、誠にありがとうございました。



                それでは、ごきげんようさようなら