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5月号 『 田植え交流会に参加して・・・ 』

5月号 『 田植え交流会に参加して・・・ 』



みなさん、こんにちは! 今月も遅くなりましたが、徒然日記を投稿いたしたいと思います。



 今月のテーマは、『 田植え交流会に参加して・・ 』 とさせていただきました。



 先日5月29日(日)台風が西日本直撃の中、広島県庄原市東城町にて第24回東城町田植え交流会に参加した模様をお伝えしたいと思います。



 毎年恒例の行事として地元生産者の方々が、24年前から開催されておられ、今年もどしゃ降りの雨と風の中約100名以上の家族連れの方々が泥まみれのになりながら田んぼに苗を植えられておりました。







 大阪からは、私と鴻池店の吉倉店長、東大阪店の段上チーフ、姫路店の森チーフ、そして今回ご案内いただきました高石市の「米紀行はたやす」の畑中社長と5名参加させていただきました。



 日帰りツァーだったので、早朝5:30に大阪を出発して夜8:00帰阪という「とんぼ返り」の強行軍でした。



 その分、内容は濃く大変有意義な体験をさせていただきました。現地では、朝10:00に田植え太鼓によるつな田植えが始まり、みなさん苗床からの苗を各々片手に持ちながら、当地のおばあちゃん方の民謡田植え唄をライブで聴きながら約1時間半かかって一本一本丁寧に手植えしていきました。

 





 田んぼに苗が植え終えられますと、いよいよ今度は「カルガモの進水式」です。参加者から一羽一羽それぞれ田んぼにカルガモの子供たち数十羽放されると、愛嬌のあるカルガモ達は気持ちよく田んぼの中を泳ぎ、私たちを和ませてくれました。今回の主催者側のリーダーであります生産者
藤本 勲 氏は、広島県アイガモ水稲会の会長を歴任されておられ、またそれを評価されて第35回日本農業賞 水稲部門で優秀賞を受賞されておられます。







 ちなみに、私どもは特別栽培米『藤本勲さんのあきたこまち』(減農薬50%・有機肥料使用50%・小売価格398円・粗利率30%)を取り扱っておりまして、その所以で今回の田植えツァー参加となった訳でございます。



 お米戦略については後ほどお話しするとして再度交流会に戻りますと、田植え終了後の次はサツマイモ「ベニアヅマ」をビニールハウスで一人10株ずつ苗植えを行ないました。秋の収穫時には、新米のご案内時にお米の『おまけ』として消費者の皆さんに糖度の高いサツマイモを味わっていただきたいと思っております。



 

 さて、一連の農作業が終わりますといよいよ12:00からお楽しみの昼食会です。現地生産者の方々が精魂込めて作っていただいた塩むすびや山菜料理、その他山てんこのおかずが並ぶ食卓で美味しくお昼ごはんをいただきました。また比婆牛の丸焼きも豪快に食しまして、本当に至れり尽くせりのおもてなしでございました。

 

 さらには、昼食時の余興といたしまして当地で古くから伝統行事として引き継がれております『お田植え神楽』が演じられ何か古き良き時代にタイムスリップしたようで心が洗われる思いでした。ちなみに、お神楽(おかぐら)とは、神様に奉納する舞のことで、家内安全・五穀豊穣を願って舞われるもので、当日は藤本さんのお孫さんコウタ君も最年少出演され観客の拍手喝さいを浴びておられました。







 その後、藤本さんのお米で造った純米酒もいただきホロ酔い気分で、隣接する東城温泉にて一日のあか落としのため、ひとっ風呂浴びてフルコースは終了いたしました。本当に充実した田植えツァーになりました。



 私自身、開催日の二日前から風邪を引いておりましたので参加するかどうか悩んでおったのですが、出掛けて本当に良かったです。そんな訳で、私は風呂屋さんでは長湯をせず、さっさと済ませたのですが、他の四人は露天風呂の岩場に座り、自然の中で長々と語り合っておりました。



 脱衣場からガラス越しに彼らの様を見た時、何の話題で盛り上がっていたのか分かりませんが、世代の移り代わりというか、ある意味期待度も込めて彼等に頼もしさを感じる事ができました。本当に連れて行って良かったなと自分自身納得しておりました。(ちなみに、その時私は脱衣場の200円コインマッサージ機で気持ちよく揺られていましたよ。)



 さて、今月号の結びといたしまして今回の田植えツァーの参加経緯や目的などを述べて終わりといたしたいと思います。



 ことの始まりは、4月の中ごろに東大阪店・鴻池店・姫路店3店のお米担当者より低迷するお米売上げをどのようにすれば更に伸ばす事が出来るのか!という相談を受けまして、早速1~3月までお米カテゴリーのアイテム別売上ランキングを抽出してみました。また、同時に順調に推移している久宝寺店の数値も出してみました。



 そこで久宝寺店の数値と他の3店の数値を見比べますと、違いがはっきりと見極める事ができました。

 





 上記の図にあるように久宝寺店と東大阪店の数値を比較してみると、販売キロ数や取り扱いアイテム数は、東大阪店の方が上回っていますが、最終的な粗利益額になりますとはるかに久宝寺店が上回っております。その違いの主たる原因は、久宝寺店販売数量NO.1にある『曽我さんのコシヒカリ』粗利構成比の高さにあるのです。



 以前にも度々『徒然日記』に登場しております『ランチェスター戦略』でいくつかある『弱者の戦略』の中で『一点集中主義』という手法があります。いわゆる重点商品を決め、それを集中的に販売することであります。



 昨今、取扱商品の売上げ低迷が続く場面での唯一の現状打開策が、この商品の重点化といってもよいと思います。そして、面白いことにこの重点商品のシェアが上がってくると、他の商品まで影響を受けて売れていく点であります。久宝寺店の場合、販売第2位にランキングされている「斉藤さんのナスヒカリ」がそれで、曽我さんと別価格帯で同じく高いシェアを獲得してきています。



 話は変わりますが、今から25年前当時のビール業界ではキリンビール社が圧倒的シェアを獲得しておりました。そこで、当時弱者であった(失礼な言い方ですが・・・)アサヒビール社は、一点集中主義に徹してマーケティング調査や新製品開発を実施しました。そして、そこで誕生したのが“コクキレビール”のアサヒスーパードライでした。その後のアサヒ社の躍進は皆様ご存知であると思います。



 さてお米の話に戻りますと、実は今から5年前ぐらいに久宝寺店の三島オーナーがこのアサヒ社の戦略を選択したということです。大手企業と比喩するとちょっとオーバーになりますが、大手であろうが我々のような零細商店であろうが考え方は不変性のものがあります。



 売上げ低迷時の必須事項は、各カテゴリーごとに「一番の商品を育てる」ということです。それも、低価格商品や低粗利額商品を漠然と育てるのではなく、「その商品の価値を語らなければ売れない商品」を時間をかけて育成していく。いわゆる難易度の高いものに挑戦していくということなのです。



 そこで今回の『田植えツァー』という事になってくるのです。今回の3店スタッフの行動は、今すぐにお米売上げに貢献はしないかも知れません。すなわち即効性のあるものではないかも知れません。



 しかしながら、不況の今だからこそできることがあると思います。奇手奇策を講じるのではなく、地域に根ざした地道な活動でお客様一人一人に対して顧客が知りたい情報、店側がお知らせしたい情報をコツコツと時間をかけて丁寧に伝えていくことで、自店の独自性や付加価値を積み上げていく事ができると確信しています。



 人生と同じく、商いに 『 近道は無い!』 という事を申し上げて今月の投稿を終えたいと思います。





 今月もご覧頂きまして誠に有難うございました。

 

 ( P.S ) 『ランチェスター弱者の戦略』 詳しく知りたいと思われる方は、いつでも直接 井上までお電話かメールをいただければご指導いたします。