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7月号『 商品を売るな 自分を売れ!? 』Ⅴol.125

7月号   『 商品を売るな 自分を売れ!? 』  Ⅴol.125



 みなさん、こんにちは! 今月の徒然日記を投稿いたしたいと思います。



 いゃー、やっとこさ梅雨が明けました! 本当に今年の7月は、よく雨が降りましたね。先月号でもお話ししましたが、今年の梅雨入りは 観測史上一番遅い梅雨入り ( 6/26 ) となり、水不足で米作農家さんにとって深刻な事態になるのでは・・・と予測されましたが、どうしてどうして自然現象というものは不確実性そのものであり、何と遅い梅雨時期に入ってからは、皮肉にも毎日雨雨雨雨の連続でした。

 



 ちなみに昨年の近畿地方の梅雨明けは、7/9 でしたから今年の場合は遅れに遅れて24日となりました。米作農家さんにとっては、たっぷりの水とは裏腹に日照時間不足のため、光合成不良で登熟不良・着色米増加など品質低下が心配となってまいります。



 カラ梅雨となれば、水不足と高温障害でダメージとなり、長雨となれば日照不足で発育不良となり、本当に自然を相手にした仕事 というのは、大変だなとつくづく思えてまいります。そんな悪状況の中でも日本全国の農家の皆さんには何とか頑張ってもらいたいという思いでエールを送りたいと思います。



 といいながら、他人ごとではありません。農家さんとまではいきませんが、我々の商売もこの雨雨の連続で少なからず、厳しい状況 におかれております。先述の通り、昨年の今頃は梅雨も早く明けて、毎日毎日が猛暑の連続で日々の新聞やTVでも、熱中症患者の緊急搬送などが報道されておりました。今年は、そんなニュースはほとんど見聞きしておりません。ゆえに飲料水中心に売上不振となっております。



 地球温暖化の影響で、今年の夏も猛暑続きとなり、ビールや飲料水の需要が非常に高まると予想していたのですが、豈図らんやこのような状況であります。東大阪店でも、品不足を予想して大量のスポーツドリンクを買い込んでおったのですが、予想外となりました。( まだ、8月9月がありますけどね・・・)



 ただ我々の商売の有難いところは、飲料水やビール系が不調であれば、この時期夏ギフトをキッチリ対応すれば売上・利益に貢献することが出来ますし、、お米においても昨年30年度産の玄米を精米してお客様に供給することが出来るわけですから、商売のやり方を変えれば致命的な状況には至らないという有難い商業環境 にあります。



 いわゆるリスクヘッジできる商品・カテゴリーが存在するわけです。野菜作りやお米作りだけの農家さんにとってはリスクをまともにかぶってしまい、まるまる一年棒に振るということになります。本当にお気の毒なことであります。スポーツでいうなら、敗者復活戦のない競技のようなものですね。



 人の人生と同じで、仕事においても業種こそ違いがありますが、常に悩みや苦しみはつきものでそれを克服する中で進歩があり、達成した喜びと充実感があるのだと思います。まあ、お互い大変ですけど何やかやと毎日ボヤキながら前に進んでいきましょう!

 





 さて、今月のテーマは 『 商品を売るな 自分を売れ!? 』 という内容にさせていただきました。私が30代の頃によく流行った言葉ですが、その時代中小企業の経営セミナーに参加するとコンサルタントの先生がよく使われたフレーズであります。



 ここでイノウエ酒販時代、その言葉の内容を根性論で着実に実践 していたエピソードを一つお話ししたいと思います。



 当時、私が35歳、番頭さんの川口氏が28歳の時代です。イノウエ酒販では、当時年間販促の一つとしてワインの頒布会 ( 2本×6ヶ月 小売3000円/月) を実施しておりました。

 



 マンズワイン50口を目標に棒グラフの表を事務所に掲示して『達成するまでガンバロー!』 というスローガンポスターも壁に貼って意識高揚を図っておりました。そして、いよいよ販促期間最終日、閉店夜9時になって48口、あと2口となりました。



 川口氏が何とか50口へと、ということで夜遅く車を走らせて、いつも自分を可愛がってもらってる上得意様へ訪問して2口獲得して帰ってきたのが10時を過ぎておりました。そのお客様は、それまですでに2口ご注文をいただいているのにもかかわらず、さらに追加の2口でした。そして目標の50口達成! 店のシャッターを下ろした後、ふたりで祝杯を挙げたものでした。



 飲みながら、川口氏から受注の状況を聞くと、夜9:30ごろピンポンを押し玄関先でパジャマ姿のお客様に「何とかあと2口を!」 とお願いをするとお客様の方から「夜遅くまで大変やねー、注文してあげるから早よ帰って風呂にでも入り、ゆっくりしーや」 と言ってもらったとのことです。



 有難いお客様です。もうその段階では、商品が何かではなく、川口氏の日頃からのお付き合いのあり方が功を奏しての話であります。『 商品を売るな 自分を売れ 』 と言う訳です。



 そんな時代でありました。しかしながら今の時代、果たしてそんな売り方が通用するでしょうか? そこまで寛大に受け止めていただけるお客様が存在するのか、そして何よりもお客様の夜の私的な時間を無視 してまでの訪問販売が本当に正しい商人のあり方なのだろうか?



 売る側の立場で一生懸命 自分の働く姿 をお客様に見てもらえれば必ずお客様が共感し評価してもらえると誤解して接客していたのではないだろうか。お客様を信じるその思いは、今も間違いなく変わりません。しかしながら、いま思えば何か勘違いをしているのでは・・・と思う時があります。



 たまに川口氏と飲む機会があれば、当時の仕事を懐かしく語り合う時があります。古き良き時代の話であります。根性論で仕事を人生を駆け抜けた時代でありました。でも今は残念ですがそれは通用しません。商売のあり方が
『 売り手目線 』 から 『 買い手目線 』 に大きくバランスチェンジしたのであります。



 確かに売る側の接客技術は高めていかなければなりません。そしてたまには 『 根性論 』 が必要な時もあります。しかしながら、自分の価値を高めるだけで物が売れる、お客様が支持してくれる時代ではありません。原点に返ってやはり商品そのものの価値を高めること、さらには商品に付随する価値 が重要な時代となりました。いわゆる付加価値であります。



 例えば、EC (イーコマース・電子商取引) でのお買い物 の場合、スマホでアマゾンに入り、発注し商品購入が出来る時代です。しかも決済は銀行引き落とし。そこには、人がその商取引にまったく関与していません。『自分を売れ』 といっても人が介在しないのですから、どうしようもありません。人による接客が不要となる商取引、それが普通になってまいりました。

 



 さらには、購入した商品についてのトレーサビリティや使い方・レシピなど遥かに人が介するよりも正確 で幅広い情報サービスが享受できるわけですから、これから更にネット通販は伸びてまいります。地域の商店街での名物おやじの商売人は、あちこちで時代と共に消えてなくなりつつあります。



 さあ、そこでみなさんこれから私たちどうするの、そしてどうなるの ってことですが、心配無用ご安心ください。何とかなるんです。やせ我慢で言ってるのではありませんよ。ただし、一つ必須事項があります。それは、 『 努力して学習し、お客様目線で行動に移す』 ことです。 どこに向かって努力するのか、そして具体的にどのように努力するのか、それが問題なのであります。



 仕事でもスポーツでも勉学においても、大谷翔平さんのように能力のある人って生まれながらにして備わっているものでもないと思います。敢えて言うなら、能力のある人は
『 努力する能力 』 を持っている人なんだなと思います。



 どうも抽象的な言い回しになっていますが、具体的なヒントの一つとして今年10月に開催される本部主催 秋の勉強会に積極参加 されるのも次なる努力目標のキッカケとなるのではないでしょうか。日々、目の前の大事な仕事をこなしつつ、常に情報収集のアンテナを張り巡らせ、ある時は時間を作り、自ら赴いて体感することが非常に大事な行動となってまいります。是非とも万障繰り合わせてご参加賜りますようお待ちいたしております。



 最後になりますが、先ほど 「何とかなるんです。」 と述べておりました、その根拠は以前にもお話いたしました英国の生物学者チャールズ・ダーウィンの進化論を今もなお私は信奉し、実践しているからなのです。不変性のものは頑なに踏襲し、さらには時代と共に変えるべきは、常に変化することを心がけています。



  それでは、その有名な言葉を再度ご提示して今月の投稿を終えたいと思います。



     今月もご覧いただきまして、誠にありがとうございました。